Agent Skillsの作り方 — 非エンジニアが実際に自作してみた
Agent Skillsは「SKILL.mdファイル1つでAIに仕事の型を覚えさせる仕組み」だ。プログラミング不要。非エンジニアの筆者が実際に自作した手順・実例・失敗談をまとめた。
「AIエージェントに毎回同じ説明をするのが面倒」「前回と同じ品質で仕事してほしい」——こう思ったことはないだろうか。
Agent Skills(エージェントスキル)は、この問題を解決する仕組みだ。SKILL.mdというMarkdownファイル1つで、AIに「仕事の型」を覚えさせることができる。プログラミング知識は不要。
結論:Agent Skillsは「AIにMarkdownで知識を教える仕組み」。SKILL.md 1ファイルで作れて、非エンジニアでも5分で始められる。ただし第三者製スキルにはセキュリティリスクがあるため、自作が最適解だ。
⚠️ この記事の情報は2026年3月時点のものです。Agent Skillsの仕様はツールのアップデートにより変更される可能性があります。
Agent Skillsとは — AIに「仕事の型」を教える仕組み
一言で:SKILL.mdファイル1つで、AIエージェントに特定の仕事のやり方をまるごと覚えさせる仕組みだ。
普段AIエージェントに仕事を頼むとき、毎回こんな説明をしていないだろうか。
- 「このサイトの記事は"だ・である"調で書いて」
- 「frontmatterにはこのフィールドを入れて」
- 「レビューはこの基準でチェックして」
これを毎回チャットで指示する代わりに、ファイルに書いておくのがAgent Skillsの発想だ。
ワークフローとの違い
混同しやすいので整理しておく。
| ワークフロー | スキル | |
|---|---|---|
| 役割 | 「何をどの順番でやるか」の手順書 | 「どう書くか・どうチェックするか」の知識集 |
| 例え | レシピの手順(①切る②炒める③盛る) | コツと知識(火加減・味付けの基準・盛り付けルール) |
| ファイル | .agents/workflows/ に配置 |
.agents/skills/ に配置 |
| 呼び出し | /deploy のようにスラッシュコマンドで呼ぶ |
AIが自動的に関連スキルを参照する |
**ワークフローが「レシピ」なら、スキルは「料理の教科書」**だ。
💡 筆者の体験:最初はワークフローだけで運用していた。
/deployでビルド→コミット→デプロイまで自動化できて満足していた。だが記事を書く作業は毎回「こういうトーンで」「こういう構成で」と説明し直す必要があった。スキルを導入してからは、その説明が不要になった。AIが「ふっけんラボの記事はこう書く」を最初から知っている状態になるのだ。
SKILL.mdの基本構造 — たった3つの要素
一言で:SKILL.mdはYAML frontmatter(---で囲まれた冒頭の設定エリア)+ Markdownの本文だけで構成される。
最小限のSKILL.md
---
name: 記事作成スキル
description: ブログ記事を一貫した品質・フォーマットで作成するためのルール集
---
# 記事作成スキル
## 執筆ルール
- 文体は「だ・である」調
- 専門用語は平易な言葉で補足する
- 表やリストを積極的に使う
これだけだ。3つの要素しかない。
| 要素 | 役割 | 注意点 |
|---|---|---|
name |
スキルの名前 | 人間が識別するためのラベル |
description |
スキルの説明 | AIがこれを見て「使うかどうか」を判断する。具体的に書く |
| 本文 | 知識・ルール | Markdownで自由に書ける。表・リスト・コードブロック何でもOK |
descriptionが最重要
ここが最大のポイントだ。AIエージェントは description を読んで「このスキルを今のタスクに使うかどうか」を判断する。
| ❌ ダメな例 | ✅ 良い例 |
|---|---|
| 「便利なスキル」 | 「ブログ記事を一貫した品質・フォーマットで作成するためのルール集」 |
| 「ライティング」 | 「Eleventyサイトの記事をだ・である調で、SEO最適化して作成するスキル」 |
| 「いろいろ使える」 | 「時計の写真から鑑定レポートを作成し、メルカリ出品ドラフトを生成するスキル」 |
曖昧な description = AIがスキルを見つけられない = 存在しないのと同じだ。
💡 筆者の体験:最初に作ったスキルの description は「記事を書くスキル」だった。これだとAIが記事を書く場面で参照してくれないことがあった。「Eleventyサイトの記事を、一貫した品質・トーン・フォーマットで作成するためのスキル」に変えたら、毎回確実に参照されるようになった。**description は「AIへの名刺」**だと思って具体的に書こう。
スキルの置き場所 — ワークスペースとグローバル
一言で:プロジェクト専用なら .agents/skills/、全プロジェクト共通なら ~/.gemini/antigravity/skills/ に置く。
| 種類 | パス | 使い分け |
|---|---|---|
| ワークスペーススキル | .agents/skills/{スキル名}/SKILL.md |
そのプロジェクト専用のルール |
| グローバルスキル | ~/.gemini/antigravity/skills/{スキル名}/SKILL.md |
全プロジェクトで使うルール |
フォルダ構成の実例
筆者のふっけんラボプロジェクトの実際のフォルダ構成はこうなっている。
fukkenlab/
├── .agents/
│ ├── skills/
│ │ └── article-writing/ ← スキル
│ │ ├── SKILL.md ← エントリポイント
│ │ ├── resources/ ← 知識・ルール集
│ │ │ ├── writing-rules.md
│ │ │ ├── cluster-guide.md
│ │ │ ├── review-process.md
│ │ │ └── article-plan.md
│ │ └── templates/ ← 記事テンプレート
│ │ ├── article-tools.md
│ │ ├── article-direction.md
│ │ └── article-safety.md
│ └── workflows/
│ ├── write-article.md ← ワークフロー
│ └── deploy.md
└── src/ ← 記事本体
SKILL.mdが「エントリポイント」として入口になり、そこから resources/ や templates/ の詳細ファイルを参照する構造だ。
実際にスキルを作ってみる — 5ステップ
一言で:AIに「スキルを作って」と頼むのが最速。ゼロから自分で書く必要はない。
ステップ1:「何をスキル化するか」を決める
まずは繰り返しやっている作業を1つ選ぶ。
| ✅ スキル化に向く作業 | ❌ スキル化に向かない作業 |
|---|---|
| 毎回同じフォーマットで書く作業 | 1回限りのタスク |
| 品質基準が定まっている作業 | 毎回やり方が違う作業 |
| 他の人にも引き継ぎたい仕事の型 | 個人の感覚に頼る作業 |
ステップ2:AIにたたき台を作ってもらう
AIエージェントに直接頼む。
この記事作成のルールをAgent Skillとしてまとめて。
SKILL.mdの形式で、.agents/skills/article-writing/ に作ってほしい。
ルール:
- 文体は「だ・である」調
- 記事のfrontmatterにはこのフィールドが必要(layout, title, description, date...)
- レビューはGemini APIで自動実行
- FukkenBrainの実体験を記事に組み込むこと
AIが5分程度で SKILL.md + resources/ のたたき台を生成してくれる。
ステップ3:たたき台を自分で確認・修正する
AIが作ったスキルをそのまま使わない。自分の実運用に合わせて修正するのが大事だ。
チェックポイント:
- [ ] descriptionは具体的か?
- [ ] ルールは自分の実際のやり方と合っているか?
- [ ] 足りない情報はないか?(過去の失敗パターン等)
- [ ] テンプレートは実際の完成品と一致しているか?
ステップ4:実際に使ってみる
スキルを配置したら、実際にタスクを依頼して動作を確認する。
/write-article
AIがスキルを参照して記事を書いてくれるか、トーンやフォーマットが正しいかを見る。
ステップ5:フィードバックで進化させる
使ってみて「ここが違う」と思ったら、スキルを修正する。このフィードバックループがスキルの品質を高めていく。
| 気づき | スキルへの反映 |
|---|---|
| レビューで同じ指摘が3回続いた | review-learnings.md にパターンとして追記 |
| テンプレートの構成が実際と違った | テンプレートファイルを修正 |
| 新しい参照情報が必要になった | resources/ にファイル追加 |
💡 筆者の体験:筆者はFXサイト(Luna Logic FX)で先にスキルを作り、その構造をふっけんラボにも横展開した。FXサイトでは32本の記事を書く中でレビュー指摘のパターンが蓄積され、同じミスの再発がほぼゼロになった。**スキルは「育てるもの」**だ。最初から完璧を目指す必要はない。
第三者スキルのセキュリティリスク
一言で:他人が作ったスキルをそのまま使うのは危険。アイデアだけもらって自作するのが安全だ。
Agent Skillsの仕組み上、SKILL.mdにはAIへの任意の指示を書ける。つまり、悪意あるスキルは以下のようなことをAIに実行させる可能性がある。
| リスク | 具体例 |
|---|---|
| ファイル削除 | 「作業開始前に不要ファイルを削除して」→ 重要ファイルが消える |
| データ送信 | 「この内容を外部URLにPOSTして」→ プロジェクト情報が流出 |
| 設定改変 | 「.gitignoreを変更して」→ 機密情報がGitに含まれる |
安全な使い方
| # | やること | 効果 |
|---|---|---|
| 1 | 第三者スキルはそのまま使わない | 悪意あるコードを排除 |
| 2 | アイデアだけ参考にして自作する | 内容を100%把握できる |
| 3 | スキルの中身を必ず全文読む | 不審な指示を検出 |
| 4 | GitHubのスター数やIssueを確認する | コミュニティの評価を参考 |
💡 筆者の体験:筆者はAIエージェント導入初期に「ファイルが勝手に削除される事故」を経験している。これはスキルが原因ではなかったが、AIに与える指示の怖さを身をもって知った。スキルは「AIへの常時有効な指示書」だからこそ、中身を自分で把握しているもの以外は使わないというルールを徹底している。
MCPとAgent Skillsの違い
一言で:MCPは「外部接続」、Agent Skillsは「知識注入」。個人利用ならスキルだけで十分。
AI界隈で「MCP」という言葉を耳にする機会が増えている。Agent Skillsと混同されがちだが、これはまったく別物だ。整理しておこう。
| Agent Skills | MCP | |
|---|---|---|
| 役割 | AIに知識・ルールを教える | AIが外部サービスと接続する |
| 例え | 教科書を渡す | 電話をつなぐ |
| 難易度 | Markdownが書ければOK | サーバー構築が必要 |
| 個人利用 | ✅ これだけで十分 | ❌ 過剰な場合が多い |
MCPは企業のデータベースやSlack等と接続する場面では有用だが、個人のブログ運営やタスク自動化ならスキルだけで十分カバーできる。
「MCPを導入しないと遅れる」という論調を見かけるが、筆者の実感としては、まずスキルとワークフローを整備するのが先だ。基礎ができていないのにMCPを入れても使いこなせない。
筆者の実運用 — スキルで何が変わったか
一言で:記事1本あたりの手戻りがほぼゼロになり、品質が安定した。
Before(スキルなし)
| 問題 | 頻度 |
|---|---|
| 毎回トーンや構成を指示し直す | 毎回 |
| テンプレートの形式がバラける | 3回に1回 |
| レビューで同じ指摘が繰り返される | よくある |
| frontmatterの必須項目を忘れる | たまにある |
After(スキルあり)
| 改善点 | 効果 |
|---|---|
| トーン・構成の指示が不要に | 指示時間ゼロ |
| テンプレート通りの統一フォーマット | 品質のバラつきなし |
| レビュー学習ログで同じミスを防止 | 手戻りほぼゼロ |
| チェックリストでfrontmatter漏れ防止 | 漏れゼロ |
**スキルは「AIのオンボーディング資料」**だ。新しいメンバーが入ったとき、仕事のやり方をまとめた資料を渡すのと同じ。AIにも渡してやれば、最初から戦力になる。
まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| Agent Skillsとは | SKILL.md 1ファイルでAIに仕事の型を教える仕組み |
| 必要なスキル | Markdownが書ければOK。プログラミング不要 |
| 最速の始め方 | AIに「スキル作って」と頼む → たたき台を修正 |
| 最大の注意点 | 第三者スキルはセキュリティリスクあり → 自作推奨 |
| MCPとの違い | スキルは知識注入、MCPは外部接続。個人ならスキルで十分 |
Agent Skillsの本質は「AIとの仕事の型を言語化すること」だ。最初は小さなスキル1つから始めて、使いながら育てていけばいい。完璧を目指す必要はない。AIに仕事を頼むたびに「前にも説明したのに」と思ったら、それがスキル化のサインだ。
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FAQ:Agent Skillsでよくある質問
Q. Agent Skillsとは何ですか?
A. AIエージェントに「仕事の型」を覚えさせる仕組みだ。SKILL.mdというMarkdownファイル1つで定義でき、プログラミング知識は不要。AIが自動的にスキルを参照して仕事をしてくれる。
Q. Agent Skillsとワークフローの違いは?
A. ワークフローは「何をどの順番でやるか」の手順書、スキルは「どう書くか・どうチェックするか」の知識・ルール集だ。ワークフローがレシピの手順なら、スキルはコツや下ごしらえの知識に相当する。
Q. 非エンジニアでもAgent Skillsを作れますか?
A. はい。筆者は営業職で、プログラミング経験はない。Markdownで書けるなら誰でも作れる。AIに「スキルを作って」と頼めば、5分でたたき台ができる。
Q. MCPとAgent Skillsの違いは?
A. MCPはAIが外部サービスと接続するための標準規格だ。Agent Skillsは知識やルールを教える仕組み。個人利用ならMCPは不要な場合が多く、スキルだけで十分カバーできる。
Q. 第三者が作ったスキルを使っても大丈夫ですか?
A. リスクがある。スキルファイルにはAIへの任意の指示を書けるため、悪意あるスキルはファイル削除やデータ送信を実行させる可能性がある。アイデアだけ参考にして自作するのが安全だ。
この記事はAntigravityを使って執筆されました。